運動における鉄分の重要性

鉄分は恒常性を保つことにおいて必要不可欠な役割を果たしています。この記事では、運動における鉄分の重要性について見ていきます。
運動における鉄分の重要性

最後の更新: 24 11月, 2020

運動するときに考えておきたい重要な要素に、代謝があります。それに関わるホルモンや栄養素にはさまざまなものがあり、たいていは多量栄養素と微量栄養素に分けれられます。この微量栄養素の一つが鉄分です。では、運動において鉄分はどれくらい重要なのでしょうか? 今回の記事で学んでいきましょう。

多くの人が脂肪分や炭水化物(多量栄養素)に多くの重点を置いていますが、微量栄養素も同じくらい大切なのです。この鉄分という微量栄養素は、特に運動と代謝にとって重要な役割を果たしています。

鉄分とは?

鉄分は多くの食品やサプリメントに少量含まれている金属です。生命維持機能に必要なのはほんの微量ですが、身体が正しく機能するにはそのわずかな量が必要不可欠なものなのです。実際、鉄分を十分に摂らないと、貧血として知られている症状が発症する可能性が高くなってしまいます。

鉄分は人間の身体の中にさまざまな形で存在していますが、血流の中にないということは非常に稀です。蓄えたり使ったりする用途に合わせて、多くの場合以下のいずれかのタンパク質とくっついています。

  • トランスフェリン:身体の仏ような部位に鉄分を運ぶ必要がある際に、鉄分と結合するタンパク質。
  • フェリチン:鉄分を蓄えるタンパク質。必要性が生じると、鉄分はフェリチンから離れてトランスフェリンと結合します。

身体の中での鉄分の役割

鉄分の主な機能であり必要不可欠な機能が、体内の組織に酸素を供給するというものです。鉄分はヘムと呼ばれる複合体の一つの構成要素であり、これはヘモグロビンやミオグロビンの構造の基本的部分をなしています。

鉄分 運動
  • ヘモグロビンは身体の中で最も重要なたんぱく質の一つです。これは赤血球の中に存在し、肺を通る際に酸素を取り込み血球と酸素を結合させます。そして組織を通る時に組織が使えるように酸素を解放するのです。
  • ミオグロビンは筋肉組織に欠かせないタンパク質です。このタンパク質は酸素を取り込み筋肉を正常に機能させます。筋肉組織は動くのに大量の酸素を必要とします。(訳者注:Muscles tissue不要なsが入っています。)
  • ヘム鉄は肝臓のシトクロムの中にも存在します。これは、さまざまな薬などの物質の代謝に関わるタンパク質複合体です。

ヘムはポルフィリンと呼ばれる輪っかのような構造をしており、真ん中の部分に鉄分子を含んでいます。ヘムがあるので血や筋肉の色は赤く見えます。それぞれヘモグロビンやミオグロビンという形で血と筋肉の中に存在しているのです。

運動における鉄分の重要性

鉄分の人間の身体の中での基本的な役割を見てみれば、運動における鉄分の大切さは簡単に理解できるでしょう。

  • 適切な量の鉄分を摂取することで、血中のヘモグロビン値を正常にすることができます。それにより、脂肪や心臓の筋肉、横紋筋など運動においてカギとなる組織への酸素の運搬がうまくいきます。脂肪細胞は脂肪分子を分解して筋肉へエネルギーを供給するのに酸素を必要とします。つまり肺から酸素が入ってくる必要もあるということです。
  • すでにお話ししたように、鉄分はミオグロビンの一部です。ですので、鉄分が欠乏すると力が出なくなり過度に疲れてしまうという、鉄不足による貧血の典型的な症状が出るのです。

十分な鉄分をしっかり摂るためには?

いろいろなものをバランスよく食べていれば、普通は必要な鉄分を全て摂れるのでサプリなどは必要ありません。ただ例外としては、とても稀ではありますがサラセミアなどの遺伝的疾患がある場合です。

鉄不足による貧血の症状が出た場合には、お医者さんに相談しましょう。ですが、適切な食事をしていればこれは避けられるはずです。それだけでなく、運動のパフォーマンスも向上できるでしょう。

鉄分を含んでいる食品には次のようなものがあります。

  • 赤い肉
  • レンズ豆などの豆類
  • ヘーゼルナッツやピスタチオなどのナッツ類
  • キヌア
鉄分 キヌア

鉄分は健康とスポーツのパフォーマンスに必要非可決

ご覧の通り、十分な鉄分を食事の中で摂ることは非常に重要です。細胞に酸素を贈ったり、肝臓から有毒物質を取り除いたりするなどの重要な機能に欠かせない役割を持っているのです。

そして、細胞に酸素を届けるというのは当たり前ですが運動中に大切なことです。鉄分を十分に摂ることで、筋肉を効率的に動かしパフォーマンスを向上させることができるのです。


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