体重が減らない?甲状腺機能低下症の可能性

甲状腺機能低下症は、ダイエット中の人が体重を減らすのを妨げる可能性のある甲状腺の病気です。今回の記事では、この問題について詳しく説明します。
体重が減らない?甲状腺機能低下症の可能性

最後の更新: 10 2月, 2020

毎日多くの人々が、より健康的なライフスタイルを目指して努力しています。

座りがちなライフスタイルを改善するのが難しい職場であったり、食生活の乱れなどが、ダイエットの成功を妨げることがあります。

しかし、健康的なライフスタイルへと変更して、バランスの良い健康的な食生活を送っているのにも関わらず、ダイエットがうまくいかない場合は、甲状腺機能低下症と呼ばれる病気を発症している可能性があります。

甲状腺

甲状腺は、喉仏の下にある蝶の形をした小さな内分泌器官です。

蝶の羽のような部分を右葉と左葉と呼び、胴体と頭部にあたる部分を峡部と錐体葉と呼んでいます。

内分泌系器官の一部である甲状腺は、下垂体と視床下部の制御に反応します。

視床下部のニューロンは、下垂体に移動する甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)を分泌し、それに応じて、下垂体の細胞は甲状腺刺激ホルモンまたは甲状腺刺激ホルモン(TSH)を分泌します。

甲状腺刺激ホルモンは、下垂体の正常な循環に始まり、甲状腺に移動してその細胞受容体を刺激します。

また、T3(トリヨードサイロニン)とT4(チロキシン)という甲状腺ホルモンの生成と分泌を刺激します。

甲状腺の機能

甲状腺には様々な機能がありますが、最も重要なのは、体の代謝や成長などを調節する作用と生体の熱産生を高めることです。

甲状腺ホルモン、特にサイロキシンは、タンパク質の合成と脂肪の分解を助けるため、体脂肪の量を減らし、体内の健康を全体的に改善するためには、ある程度のホルモンが必要になります。

甲状腺ホルモンであるT3とT4の両方、特にT4は、その同化特性が人間の成長に重要な役割を果たします。

これらの甲状腺ホルモンは年齢によって変動しますが、思春期にピークを迎えます。

またこれらのホルモン値が上昇すると、体温の上昇に関連する視床下部の受容体を活性化します。

体重が減らない?甲状腺機能低下症の可能性 甲状腺

甲状腺機能低下症

甲状腺障害や甲状腺機能亢進症は、前述のホルモンが過剰に分泌されたり不足することが原因で発症します。

今回の記事では、甲状腺機能低下症と、減量を行う際にこの病気が原因で起こる可能性のある問題に焦点を当てます。

原因

甲状腺機能低下症が生じる原因は多岐に渡っています。

かつては、ヨウ素が不足すると、身体が十分な量の甲状腺ホルモンを合成することができなくなるため、ヨウ素の欠乏が、甲状腺機能低下症の症例で最も一般的な原因でした。

現在では、多くの食品にヨウ素化塩が含まれているため、ヨウ素が欠乏することはほとんどなくなりました。その代わり、橋本病と呼ばれる、抗体が甲状腺組織を攻撃し、甲状腺組織のホルモン産生を妨げる自己免疫疾患が、最も一般的な甲状腺機能低下症の原因とされています

甲状腺機能低下症の臨床症状

甲状腺機能低下症を発症すると、脱力感や疲労感、うつ症状、そして体脂肪の増加を特徴とする体重の増加が起こります。

甲状腺ホルモンが不足すると、タンパク質の合成と脂肪を分解する機能が低下し、筋肉が失われる代わりに体脂肪が増加します。

さらに、甲状腺ホルモンの不足が、代謝を低下させるため、代謝されなかった食品や過剰に摂取した食品は、体脂肪へと変換されます。

体重が減らない?甲状腺機能低下症の可能性 体重増加との関係

診断と治療

上記の症状、特に体重増加とうつ病を発症し、甲状腺機能低下症を心配している場合は、内分泌代謝科専門医の診察を受けましょう。

これまでの病歴と併せ、医師は様々な検査を行なって診断を行います。

検査の中には、採決による自己免疫疾患の検査や、甲状腺の機能を分析する画像検査などが含まれます。

甲状腺機能低下症と診断された場合の治療は簡単です。

一般的にはサイロキシンが処方されますが、必ず医師の指示に従った治療を行いましょう。

最後に

この記事を終える前に、甲状腺機能低下症は一般的な病気ではないことを明確にしたいと思います。

ダイエットがうまくいかない原因は、多くの場合、栄養学への知識不足による間違った食生活や、生活習慣の乱れです。

この場合は、栄養士や医師の診察を受けて、正しい食事計画を立てることをお勧めします。

ダイエットがうまくいかない原因が、何らかの病気かもしれないと疑う人も少なくありませんが、これは非常に稀なケースです。

しかし疑問点や不安がある場合は、必ず医師に相談して、正しい指導のもとで理想体重を目指すことが大切です。


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