体内のpH値は食事法で変わる?

食事を変えるだけで血中のpH値を変えることは可能なのでしょうか? これは腎臓によってコントロールされているものなのですが、詳しくは続きを読んでみてください!
体内のpH値は食事法で変わる?

最後の更新: 25 11月, 2020

意外かもしれませんが、体液中のpH値は変わりません。アルカリ性食品を食べても、体のpHバランスにはなんの影響もないのです。これは、pH値が腎臓によって効率的にコントロールされているからです。

腎臓は血液をろ過し、重要な鉄分値を正常に保つ役割を果たしています。これはつまり、尿を作って血中のpH値をコントロールし、科学的な数値で言うと約7.44になるようにしているのです。

アルカリ性食品を食べてもpH値に影響はない

果物や野菜に基づいたアルカリ性食品を食べる食事法が、最近とても人気になっています。それは血中のpH値を変化させることができ、それにより特定の病気のリスクを下げられるとうたわれているからです。ところが、これは全くの間違いなのです。

まず、定期的に野菜をたくさん消費することは健康にいいことですし、特定の疾病を予防するのに役立ちます。しかしこれは野菜の持つビタミンや抗酸化作用のためです。腎臓の機能には関係がないのです。

最近の研究により、薬理学的な方法をとらずに体内のpH値を変化させるのは不可能だということが示されています。そしてこれはおそらく良いことなのです。なぜなら、血中のpH値を変えるということは、栄養の変換や代謝のプロセスを邪魔することになり、人を死に至らしめる恐れもあるからです!

アルカリ性食品を食べる食事法は健康増進になる?

この食事法には確かに健康に良い影響がありますが、それは主に健康的習慣を身に着けるのに役立つからという理由です。第一に、こういった食事法では「酸性食品」であるという理由で加工食品や単糖、トランス脂肪を避けます。そして「基本食品」と呼ばれる新鮮な食べ物の消費を促すのです。

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雑誌『ネイチャーレビュースカーディオロジー』に載ったある記事によれば、この食事パターンの変化はビタミンやミネラルをより多く摂取するということを意味し、循環器系の健康に良い影響があるそうです。

さらに、脂ののった魚やナッツ類などに含まれるオメガ3などの脂肪酸を食べると、心臓にもいい効果があります。ご覧の通り、このタイプの食事法から得られるメリットは確実に存在します。

ところが、これらすべてのことに関わらず体内のpH値は全く同じままなのです。変化する可能性があるものと言えば尿中のpH値くらいでしょう。これは特定のミネラルが排泄されることで変化する可能性があります。しかし、これは食事法を変えるに値するものとはいえません。

食事が体内のpH値に与える影響についての研究

異なる食事パターンがどのようにpH値に影響を与えるかについての研究はほとんどありません。これは腎臓の主な役割が体の酸塩基平衡を保つことだからというのが主な理由です。

ですので生理学の教科書は、薬理学的治療のほかに体内のpH値を変えることは不可能だとしています。こういった理由から、これに関係する研究をしている研究者は非常に少ないのです。

それでも存在する研究の中には、アルカリ性食品を食べる食事法の骨密度への影響や骨粗しょう症との関係について調べているものもあります。これは、このタイプの食事法が腎臓によって取り除かれるカルシウムやリンなどのミネラル量を変えるからです。ですが、研究ではこれら2つの関係性は全く証明されていません。

食事と運動 体内のpH値は食事法で変わる?

体内のpH値を変えるのは不可能

腎臓がとても効率よく機能しているため、体内のpH値はなにかしらの病気がない限り常に同じ値に保たれています。食事を変えるだけでpH値を変えることはできないのです。いかなる場合でも、体内のpH値が変わってしまうと、深刻な健康問題をいとも簡単にもたらしたり最悪死に至ることもあるのです。

だからといってアルカリ性食品を食べる食事法が健康に良い影響をもたらさないということではありません。中長期的に見ると病気の予防にも確かに役立つ可能性があります。ビタミン、ミネラル、抗酸化物質を多く摂取することになるからです。

加工食品よりも生鮮食品を食べることは健康に良いことです。ただし、有害な食べ物を食べないことが、腎臓の機能を変化させたり体内のpH値を変えるなどということは決してないのです。


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